2022.06.05
イタリア・ミラノから「くいしんぼうのイタリア食ノート」が届きました!
食をより深く研究するために、現在イタリア・ミラノへと単身渡っている一粒万倍グラノーラのオーナー・板垣 香織。月に2回ほどのペースでイタリアからの情報をお届けしています。その名も「くいしんぼうのイタリア食ノート」。板垣が感じるイタリアをどうぞお楽しみください!
【くいしんぼうのイタリア食ノート Vo.5】
夢の国、ジャッポーネ。
海外に来ると、日本人で良かったと思うことが度々ある。そのひとつが住まいについて。NYに暮らしていた時も、日本人は部屋を借りやすいと言われたことがある。わたしがアメリカ人とブラジル人の夫婦とルームシェアをしていた部屋も、前に住んでいたのが日本人、そして部屋が空く度に「誰か日本人で部屋を借りたい人いない?」と聞かれたのを覚えている。日本人はきれい好きで騒がしくないし、家賃をきちんと払ってくれるかららしい。海外で暮らす日本人のお行儀の良さが、後からその国に行く日本人を救ってくれているのだなーと感心してしまった。
そして、今回のミラノ滞在でも同じような状況になった。とにかく日本が大好きな大家さんは、日本人のいうことは何でも正しい!くらい思いこみがすごい。お蔭でわたしは問題なく過ごせているのだけれど、ちょっと行き過ぎな気もするのだ。大学院での授業のなかでわたしが日本の女性の社会進出について、否定的な意見を話した時も「日本は私達の未来なのよ!なんでも最先端なはずよ。そんな日本で女性が社会進出しにくい状況なんて本当なの?」と教授に聞かれたくらい。イタリアで日本のことをそこまで褒めちぎられるとは思わなかったので、びっくりしてしまった。
もちろん、イタリア人は日本食も大好き!食べ放題の寿司レストランが数えきれないほどあるし、なんと大福が大人気。「モチ!」はイタリアでは誰でも知っているデザートになっている。ラーメン屋の前には行列ができているし「トンコツ」も普段の会話に出てくる。ミラノに来たばかりの時に「トンコツってどうやって作るの?」と聞かれて「豚肉を切ったものに塩こしょうをして、小麦粉を・・・」とトンカツの説明を必死にしていて会話が全くかみ合わないことがあった。トンカツよりトンコツの方が有名なんて思いもよらなかったのだ。そしてマヨネーズ!かわいいキューピーのマヨネーズが日本のキャラクターグッズと一緒に並んでいたりする。「キューパイマヨネーズ!」(イタリアではキューピーではなくキューパイと発音する)と叫んでいるイタリア人を見ると思わず笑顔がこぼれてしまう。「そうそう、マヨネーズはこれでなくちゃ!」と心の声で話しかけてしまうのだ。
ちなみに、アメリカでも寿司はだいぶ前から人気だし、ラーメンは最近大ブームになっている。アメリカの場合は、味に敏感な人たちが今の流行としてラーメンを食べているし、寿司レストランは特別な日にデートに行くおしゃれな場所のイメージ。同じ日本ブームでもイタリアは少し違う。どちらかというと、日本文化
が好きだから日本食が好き、日本食を好きな自分が好き!みたいな感じだろうか。
わたしもイタリアに来て初めて知ったのだけれど、大家さんの子供たちやイタリア人のクラスメイトのほとんどが日本のアニメを見ながら育っている。キャプテン翼やドラゴンボール、ワンピースを見るのが放課後の楽しみだったと言って、アニメソングを歌っている姿を見て親近感が沸いてしまった。アニメが日本語や日本文化を受け入れる基盤みたいなものを作っていたのかもしれない。
ミラノや他のヨーロッパで会った人たちが口をそろえて「自由に旅行ができるようになったら、まずは日本に行きたいの!日本に行くのが夢なの!」と言ってくれる。海外に来るといつも思うのだけれど、やっぱり日本は素晴らしい!日本にいるとその良さに気が付かないことも多いけれど、その日本を夢の国だと思って暮らしている人達が海外には沢山いるのだ。こんなに想ってくれている人がいるのだから、せっかくなので、日本人はその気持ちに便乗して、これからもっと日本の良さを海外に伝えていく必要があると思う。わたしもお行儀よく、あとからミラノに来る日本人が住みやすいようにしておきたい。そして日本の良さを広めまくりたいと思っている。