2022.05.13
初夏に食べたいノンオイルフレーバー「ココナッツパイン」と「モカベリー」が帰ってきました!
これからぐんぐん気温が上がっていく季節には、さっぱりとしたフレーバーのノンオイル商品がおすすめ!オイルを使った定番商品に比べ、カロリーや脂質を抑えることができるのも嬉しいポイントです。
この度「ヘルシーハニーチアプラス」と「ヘルシーフルーツチアプラス」に加えて「ココナッツパイン」、「モカベリー」も帰ってきました!
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バナナ、マンゴー、パインといったトロピカルフルーツを使用したフルーティーなノンオイルグラノーラ。オーツ麦にパイン果汁をしっかりと染み込ませ、ラム酒を加えて焼きあげているので風味豊かで大人な味わいをお楽しみいただけます。スーパーフードのチアシード入りで栄養価もプラス。ヘルシータイプのフルーツグラノーラです。
★モカベリー
上質で砂糖不使用のココアパウダーとコーヒを加えて焼きあげたモカベリーは、深みのある味わいが魅力のノンオイルグラノーラ。スーパーフードのカカオニブ入りなのも嬉しいポイント!
カカオニブに含まれるポリフェノールは、アンチエイジングが期待できる抗酸化作用や、血流を良くする働きがあると言われているため、目覚めのパワーチャージにピッタリのフレーバーです。
甘酸っぱいクランベリーがコーヒーやカカオのほろ苦さに程よくマッチしています。
昨年までの220gサイズに加え、好評につきお徳用サイズの400gも販売スタート!
移り変わる季節を健やかにお過ごしいただくのにおすすめの商品です。ぜひお試しください!
CATEGORIES: お知らせ
2022.05.02
GWはおうちでお買い物!オンラインショップ限定10%OFFセール開催!
4月30日(土)~5月6日(金)までの期間中、オンラインショップ限定10%OFFセールを開催します!
一粒万倍グラノーラでは、さっぱりとしたフレーバーが人気のノンオイルグラノーラや、
手軽で簡単、冷たいオートミールを楽しむことができるオーバーナイトオーツカップなど
これからの季節にぴったりの商品を取りそろえています。
また、母の日の贈り物をお探しの方へ、充実したギフトセットのラインナップから
きっと素敵なプレゼントを見つけていただけます。
GWはおうちでゆったりとお買い物!お得なこの機会にぜひご利用ください。
※10%OFFでのお買い上げは、ご購入の際にクーポンコード「IRMBGW2022」を
ご入力いただく必要がございます。詳しくは、下記クーポン使用方法をご覧ください。
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【クーポン使用方法】
オンラインショップでの商品ご注文時に『お支払い方法の設定項目』で、
【ショップクーポン入力欄】に下記クーポンコードをご入力ください。
★クーポンコード IRMBGW2022
※クーポンコード有効期限2022年4月30日(土)~5月6日(金)
※クーポンのご利用はおひとり様1回まで、他クーポンとの併用はできません。
CATEGORIES: お知らせ
2022.04.29
5月の一粒万倍日
2日(月)、14日(土)、15日(日)、26日(木)、27日(金)
★一粒万倍グラノーラ神戸元町本店では、店舗でお使いいただけるポイントカードを
お作りしています。「一粒万倍日」はポイント2倍!ぜひご利用ください。
※神戸元町本店でのみ、ご利用できます。
※一部店舗休業日もございます。
CATEGORIES: 一粒万倍日
2022.04.12
イタリア・ミラノから「くいしんぼうのイタリア食ノート」が届きました!
食をより深く研究するために、現在イタリア・ミラノへと単身渡っている一粒万倍グラノーラのオーナー・板垣 香織。
月に2回ほどのペースでイタリアからの情報をお届けしています。
その名も「くいしんぼうのイタリア食ノート」。板垣が感じるイタリアをどうぞお楽しみください!
【くいしんぼうのイタリア食ノート Vo.3】
パスタとピザとジェラートだけじゃないイタリア。
わたしはアメリカにすっかりかぶれている。高校生の頃からアメリカの黒人文化に憧れて、20代で横田基地でアルバイトをし、30代でNYへ留学した。まさかその後、イタリアに留学をすることになるとは夢にも思わなかったので、イタリアに対する知識はガイドブックの情報のみ。観光で行ったことのある友人から「イタリアのご飯は美味しいし、イケメン揃いで、本当に楽しいですよー!」と何度となく聞かされ、いい歳をしたわたしでも気分が上がったのは間違いない。そんなウキウキ気分でたどり着いてまもなく、その情報はミラノでは通用しないことが判明し、わたしは今、少し困惑している。
ミラノに到着した翌日、イタリアらしいことをしようと思いついたわたしは、滞在先の近所を散歩しながら見つけたジェラート屋にかけこみ、早速初ジェラートを食べてみた。げんこつ大のイタリアンサイズのジェラートは少し甘すぎたが、とっても美味しく「あー。わたし、イタリアにいるのね・・。」とイタリアのイケメンを眺めながらひとり感慨にふけっていた。それから数か月、美味しいと言われる有名店にもいくつか通ったけれどその時以上のジェラートに出会えていない。
その数日後には、「さあ、お次はピザだ!」と意気込んで、入念にサイトをチェックしミラノの人気店に行ってみた。もちろんオーダーしたのはマルゲリータ。日本のイタリアンレストランで食べるピザの1.5倍くらいのでっかいピザが運ばれてきて、ドン!とテーブルの上に置かれたのを見て、もちろんわたしの胸は高鳴り、口からびよーんと伸びるモッツアレラチーズを日本そばのようにすすりながら「あー。わたしイタリアにいるんだ!」と感激していた。半分くらい食べた頃だろうか、突然その勢いが落ちはじめ、最後はピザを3つ折りにして口に押し込んでいたのだった。さずがの私でも、ホールピザ1枚を平らげるのは簡単ではなかった・・・。やっとの思いで食べ終えたころに、周りを見渡すと若い女性やマダム達も一人一枚ずつピザを食べている。「イタリア人、恐るべし・・。」と思ってしばらく様子を見ていると、ピザの中心だけ食べてふちの部分は全て残している。それからというもの、わたしのピザウォッチングは続いているが、女性のほとんどが中の薄い部分だけ食べて、周りの分厚い部分は残して食べていた。その後はピザを食べるたびに残ったふちの残骸がわたしを少し悲しくさせる。
そしてパスタだ。わたしが引っ越してから、大家さんがイタリアのマンマ式のパスタを食べさせようと意気込み、ジェノベーゼやカチオペペ、アマトリチャーナやカルボナーラを作ってくれる。「これが、本場のイタリアの味だなー。」と初めて食べたときの感動は忘れられない。けれど、このパスタが週に3回以上続くと辛くなってしまうのだ。どのパスタも本当に美味しいのだけれど、とにかく具が少ない。ジェノベーゼはバジルソースだけ、カチオペペはチーズとコショウ。アマトリチャーナはトマトとグアンチャーレ(イタリアのベーコンみたいなもの)、カルボナーラはアマトリチャーナのトマトが卵とチーズに変わったもの。そして、ほとんどがその一皿だけの食事だ。そう、ピザもパスタもジェラートも感動したのは最初の一皿。日本のイタリアンの質が高すぎるのか、NYでリトルイタリーに通っていたからか、横田基地のアメリカンピザを食べすぎたせいか、せっかくイタリアにいてもその3種は身近すぎて、わたしの中ではイタリア料理のカテゴリーから少し外れてしまったようだ。
しばらくの間、がっかりした気持ちが続いていたけれど、イタリア料理は他にも沢山の美味しいものがあることに気が付いてきた。最近では日本では食べられないイタリア料理を探すのが楽しみになっている。ミラノではサフランの黄色がきれいなミラノ風リゾットや牛肉を骨髄と一緒に煮込んだオソブッコ、ポルペッテ(イタリアのコロッケ)、ベルタータ(豆のポタージュスープ)、そしてポレンタ(トウモロコシの粉で作った固いお粥のようなもの)は今ではわたしの大好物になった。旬の珍しいイタリア野菜や季節のスイーツを食べるのもとっても楽しい。もちろん、各地方のチーズやワイン、生ハムも。最近はわたしが色々な野菜を買い込んで、サラダを作り始めたので、近頃の食卓は大家さんのパスタにわたしのサラダをプラスするのが定番ごはんになっている。一皿だけだった食卓に野菜が加わり、パスタ問題も解決に近づいている。そして、今では少しだけイタリアかぶれに・・・。
アメリカや日本と違って、食べ物に対して保守的なイタリアの文化は各地域の特産を守り、伝統的な料理をきちんと伝えてきた。そのことが他の国でもレベルの高いイタリアンを食べることができる要因なのだと思う。もちろん、パスタやピザもその一部。わたしもイタリアと言えばパスタとピザとジェラート!と思っていたけれど、イタリアにはもっともっと美味しいものが沢山ある。自由に旅行ができるようになったら、是非イタリアに来て試してほしい。
CATEGORIES: くいしんぼうのイタリア食ノート
2022.04.11
4月の一粒万倍日
2日(土)、5日(火)、8日(金)、20日(水)、29日(金)
★一粒万倍グラノーラ神戸元町本店では、店舗でお使いいただけるポイントカードを
お作りしています。「一粒万倍日」はポイント2倍!ぜひご利用ください。
※神戸元町本店でのみ、ご利用できます。
※一部店舗休業日もございます。
CATEGORIES: 一粒万倍日
2022.03.25
イタリア・ミラノから「くいしんぼうのイタリア食ノート」が届きました!
食をより深く研究するために、現在イタリア・ミラノへと単身渡っている一粒万倍グラノーラのオーナー・板垣 香織。
月に2回ほどのペースでイタリアからの情報をお届けしています。
その名も「くいしんぼうのイタリア食ノート」。板垣が感じるイタリアをどうぞお楽しみください!
【くいしんぼうのイタリア食ノート Vo.2】
わたしは“カプーチョ・シニョーラ”と呼ばれているに違いない。
どこの国に行っても、行きつけの店を作るのが大好きだ。「ミラノでいきつけのバーがあるのよねー。」と言えたらちょっと格好がつくのだけれど、見かけによらずお酒が強くないので、通うのはもっぱらカフェや小さなレストラン。もちろん、ミラノでも行きつけのバール(イタリアではカフェをバールと呼ぶ)がある。スーパーの片隅にある小さなバール。夕方になると、近所のおじさんたちがお酒を飲みながらおしゃべりに花をさかせていたり、高校生が大人ぶってタバコをふかしながらマフィンを食べたりする場所だ。一日の終わりを楽しく過ごそうと集まっているイタリアの人たちの間で、ひとりゆっくりカプチーノを飲みながらその風景を楽しむのが大好きだ。未だ名前も覚えていないそのバールで「カプーチョ、カカオ?」と顔なじみのおじさんが、毎回笑顔で出迎えてくれる。「シー、グラッチェ!」とわたし。そう、わたしは決まってカカオのかかったカプチーノをオーダーするのだ。
ミラノに着いたばかりの頃、コーヒーを飲みたくなったわたしが初めて行ったバールも同じ場所。イタリア語で書いてあるコーヒーの注文の仕方がわからず、とりあえず「カフェ、プリーズ」と英語で伝えてみたのだ。「?!?」と怪訝そうな顔でしばらく考えた後にカウンターにドン!と不機嫌な顔で置かれたのが一杯のエスプレッソ。前情報でイタリア人男性はみんな優しいと聞いていた私は、そのおじさんの態度と目の前にある小さなカップに入っているエスプレッソにガッカリしたのは無理もない。そのあともいくつかバールに行ったけれど、どこもエスプレッソばかり。小さなカップのエスプレッソを立ったままひと口で飲み干し、立ち去るイタリア人を見て絶望的な気持ちになった。もうミラノには日本のような美味しいコーヒーをゆっくり飲める場所はないんだ・・・。そこで、思いついたのが少しでも量の多いカプチーノ。ミルクは入っているが量が多い。机に座って飲むにはちょうど良かったのだ。それ以来、決まって頼むのはカプチーノになった。
しばらくして、イタリアに長く住んでいる友人とバールに行く機会ができたので、イタリアのコーヒーについてのうっぷんを晴らそうと、一気に不満をぶちまけてみた。「どうしてイタリアにはコーヒーが3種類しかないの?」「エスプレッソとカプチーノとお湯で薄めたアメリカーノしかないじゃん!」と言ったわたしを怪訝そうな顔で見つめる友人・・。「え・・・。日本より沢山種類があるよ・・。」その時の彼女の眼はあのときのカフェのおじさんと同じだった。
わたしは数年前に北京のカフェメニュー開発に携わったこともあり、今まで沢山のコーヒーを飲んできた。アメリカのポートランドでカッピングをしたり、バリでコピルアクを飲んだり、北京でもゲイシャの飲み比べをしたり、スターバックスでラテ講習にも参加した。しかーし!イタリアンコーヒーについては全く知らなかったのだ。メニューに書いてあるイタリア語のコーヒーの中でかろうじて読めたのがエスプレッソとカプチーノ、アメリカーノだけだったので、それ以外はないと思っていたのだった。最悪だ・・・。穴があったら入りたい・・・。そんな気持ちを察してか、その友達はそのあと優しくコーヒーについてレクチャーしてくれた。
イタリア人にとってコーヒーはエスプレッソ、カフェとも言う。そのエスプレッソを基本に20種類以上の飲み方がある。代表的なものがルンゴ(エスプレッソ+少しのお湯)、リストレット(エスプレッソの半分の水で抽出)、ドッピオ(エスプレッソダブル)、コレット(エスプレッソ+グラッパ)、カフェ・マキアート(エスプレッソ+ミルク)、ラテ・マキアート(ミルク+エスプレッソ)、マロッキーノ(エスプレッソ+泡立てたミルク+カカオ+チョコレート)、カフェ・アメリカーノ、カフェ・コンパンナ(ウインナーコーヒー)、シェケラート(エスプレッソ+砂糖+氷でシェイクしたもの)、カプチーノなどなど。そしてさらに微妙なオーダーができる。例えば、カフェ・アメリカーノのお湯は割らずにカップに入れたものを添えて欲しいとか、割るものもお湯と水を選べたり、カプチーノもミルクの量によって呼び方が違ったり、とにかく注文が様々なのだ。近年主流になっているサードウェーブコーヒーの、豆の産地に対するこだわりや、ハンドドリップの技術を競い合う日本の文化とは全く違って、とにかく基本のエスプレッソをどう楽しむか、それがイタリアのコーヒー文化。もしかしたら、日本の焼酎の飲み方に近いのかもしれない。
そんなイタリア人はコーヒーを飲むタイミングにもこだわっている。イタリア人はミルクの入っているものは11時以降には飲まないというもの。彼らにその理由を聞いても定かではなく、とにかくそういう習慣になっているというのだ。
わたしが常連になっているつもりで喜んでいたバール。本当は夕方にミルク入りのカプチーノをオーダーする変なアジア人女性として覚えられていたのだった。それがわかった今でも、わたしの習慣は変わらない。今日もカカオのかかったカプチーノを夕暮れのバールでゆっくり飲むのだ。近頃は、そこに集まる人たちとも顔見知りになってきた。毎回、立ち止まってウインクをしてくれるおじいちゃん。いつも見かけるボーダーコリーや、高校生たち。バールのおじさんも「カプチーノ美味しいかい?」と声をかけてくれるようになった。言葉は通じないけれど、その場所にいつもいる人たちの顔をみるだけでほっとできる。心の中で「わたしも今日、一日が終わりました!」とみんなに伝えているような気持ちになるのだ。日本にいるときにはなかった新しい習慣ができること、それも海外に暮らす醍醐味だ。
【筆者】板垣香織(Kaori Itagaki)
東京と神戸を拠点として活動中。建築家。デザイナー。
イートリートフード&デザイン代表。一粒万倍グラノーラ運営。
k2-foundation architect and design主宰。
米コロンビア大学東アジア研究所/建築・都市計画学科へ客員研究員として留学中に
アメリカの食文化に触発され「意(意匠)・食・住」を考える活動をスタート。
建築設計・デザイン、アート&フードディレクション、企業への商品企画などを行っている。
2021年より、イタリア・ミラノにあるミラノ工科大のデザインスクールにて、
「Design for Food」という分野で、新しい学問としての”食”をより深く研究している。
CATEGORIES: くいしんぼうのイタリア食ノート
2022.03.08
お待たせしました!イタリア・ミラノから板垣 香織による「くいしんぼうのイタリア食ノート」をお届けします
食をより深く研究するために、現在イタリア・ミラノへと単身渡っている一粒万倍グラノーラのオーナー・板垣 香織。
いよいよ今週のメルマガから、月に2回ほどのペースでイタリアからの情報をお届けします!
その名も「くいしんぼうのイタリア食ノート」。板垣が感じるイタリアをどうぞお楽しみください!
【くいしんぼうのイタリア食ノート Vo.1】
はじめに
“The discovery of a new dish confers more happiness on humanity than the discovery of a new star.”
新しいご馳走の発見は人類の幸福にとって天体の発見以上のものである。
(ブリア・サヴァラン-美味礼讃より)
わたしは“食べる”ということが大好きだ。
そして食べるものに触って、嗅いで、混ぜて、味見して・・・そう、料理することも食べることと同じくらい生活の一部になっている。食いしん坊といえばわたしの顔を思い浮かべる友人も少なくないだろう。その遍歴は子供の頃にすでに表れていて、幼稚園の頃から大好物は烏賊の塩辛、サメの皮の煮こごり、そして甘酒・・・。家族からはどんな大人になるのかと、少し心配されたくらい。
物心ついた頃から、天才的に料理の上手だった祖母と一緒に「いたずら」をするのが日課になっていた。この「いたずら」というのはわたしと祖母の間でしか通じない合言葉。
「今日、これからいたずらしていいー?」大きな声で祖母を呼ぶ。
「汚さないように新聞しいてねー。」すでに夕飯の準備をしている祖母がいつものように答えてくれる。
ランドセルを投げ捨て、テーブルにふわっと広げた新聞を眺めながら、腕組みをしてじっと考える。さて・・・今日は何をつくろうか・・・。目を閉じ、ひとり悦に入っているのだ。一休さんのごとく閃きがやってきて、戸棚から小麦粉や砂糖、冷蔵庫から卵や牛乳を取ってきて食卓にずらりと並べる。祖母が少し前に作ってくれたドーナツを再現しようとしているのだ。
材料をボールに入れ、やさしく混ぜる。指をクリーム色の生地に浸してからぺろりとひと舐めし、うんうんと頷きながら生地を仕上げる。そのころにはわたしの料理はすっかりいたずらの域に達している。食卓の周りは粉だらけ、服は生地でベタベタだ。「そろそろできたー?」と横目で見ていた祖母が声をかけ、最終段階に突入するのだ。二人揃って鍋を見つめながら、スプーンですくって油に浮かべていく。パチパチと油がはじける音が心地よく、甘い匂いが立ち込めてくるころには、食欲は極限まで達している。そしてまん丸に膨らんだドーナツを新聞紙に並べ、砂糖をまぶして熱々をほおばるのだ。
「おばあちゃん、美味しいねー。」と二人で並んで食べたドーナツの味は今でもはっきりと覚えている。
前日の天ぷらの味がすることもあったけれど、最高に美味しかった。そして、それはただのドーナツではなく、祖母との思い出そのものになった。その後は気が付けば母と一緒に料理教室に通い、高校生になったころには私の焼くベイクドチーズケーキを毎年楽しみにしているご近所さんもちらほら出てきたほど腕前が上がっていた。
そんな子供時代を送っていたのに、料理があまりに身近だったためか、それを極めようという気持ちはこれっぽちも沸くことはなく、日々とにかく美味しいものを食べたいという一心で料理をし、珍しい食べ物があればどんなものでも口に入れてみた。大学生になってからは、通っていた美大の近くにある米軍横田基地でアルバイトをし、アメリカの食文化の洗礼を受け、ジャンクでとにかくなんでもデカいアメリカ料理を毎日のように食べていた。大学時代のほとんどを基地の近くで過ごしていたので、卒業するころにはすっかりアメリカンな舌になり、げんこつのようなアイスクリームも、グレービーソースがかかったマッシュポテトと一緒に食べるフライドチキンも、顔くらい大きなバーガーキングのワッパーもペロリと平らげ、いつのまにか胃袋もアメリカンサイズになってしまった。
それから月日が過ぎ、建築家として仕事をしながらも料理熱は冷めず、ストレス解消はもちろん料理。レシピを眺めて、献立を考えるのが趣味になっていた。その後、大学時代に広がってしまった胃袋と、アメリカナイズされてしまった私の舌がそうさせたのか、NYに2年留学することになる。人種の坩堝と言われているNY。もちろん、私の食への好奇心は膨らむばかりで、一つでも多くの食べ物を口に入れようとNY中を歩きまわった。私の記憶力のほとんどは食に使われていると言っていいほど、食に関する記憶は鮮明で、味や食べた場所の空気感をすぐに思い出すことができる。
祖母と作ったドーナツのように、食べ物が思い出そのものになっているのだ。もちろん、NYで食べた色々な国の料理の記憶も私の頭にどんどん蓄積され、その後も仕事で海外に行く機会が多く、記憶は増え続け、いよいよ許容オーバーになると思った私は、その記憶を新しいものに変換したいと思い始めた。そして今度はイタリアに食を学びにきたのだった。
現在、ミラノに滞在しながら「Design for Food」という新しい食の分野の学問に取り組んでいる。ミラノに来てからは、さらに色々な食の記憶がわたしの頭に入り込み、すでにあふれそうだけれど、この記憶を少しずつアウトプットし、違うものに変換していくことで、新しいものとして蓄積していけるのではと思っている。そしてこれからも食の記憶を増やしていきたい。いい歳になった今でも、新しい食べ物を見つけたときの何とも言い難い気分は大好きだ。そして、死ぬまでに一つでも多くの種類の食べ物を口にしたい!今ではそれが私のモットーになった。私の食いしん坊はいくつなっても続きそうだ。
【筆者】板垣香織(Kaori Itagaki)
東京と神戸を拠点として活動中。建築家。デザイナー。
イートリートフード&デザイン代表。一粒万倍グラノーラ運営。
k2-foundation architect and design主宰。
米コロンビア大学東アジア研究所/建築・都市計画学科へ客員研究員として留学中に
アメリカの食文化に触発され「意(意匠)・食・住」を考える活動をスタート。
建築設計・デザイン、アート&フードディレクション、企業への商品企画などを行っている。
2021年より、イタリア・ミラノにあるミラノ工科大のデザインスクールにて、
「Design for Food」という分野で、新しい学問としての”食”をより深く研究している。
CATEGORIES: くいしんぼうのイタリア食ノート
2022.03.08
3月の一粒万倍日
1日(火)、9日(水)、14日(月)、21日(月)、26日(土)
★一粒万倍グラノーラ神戸元町本店では、店舗でお使いいただけるポイントカードを
お作りしています。「一粒万倍日」はポイント2倍!ぜひご利用ください。
※神戸元町本店でのみ、ご利用できます。
※一部店舗休業日もございます。